大型ビジョンの運用・管理

大型ビジョン（パブリックビューアー）は初期投資の大きさや起案から実際の設置までの期間が長いことから、設置の完了をもって「大きなゴールへの到達」とすることが多いのですが、実際には設置が完了した日こそが長い運営業務の開始日でもあります。一般的なLED素子の輝度半減期輝度が、製品仕様書にある元々の数値の半分になるまでの時間を示します。50,000時間とするのが一般的です。（2014年12月現在）を5万時間とした場合、朝8時から夜10時までで14時間稼動させるとすると日にして3,571日。約10年間使用できる計算になります。（実際には電源などの付帯装置の経年劣化による故障や、汚れなどによりもっと早くリニューアルを行う傾向があります。）運営・管理するための人員や設備の維持にかかる費用の累積は、やりかたによっては表示機本体を圧倒するような額にもなりかねません。あれもこれもではなく、目的を明確にし、費用対効果を踏まえた規模、質、内容で検討しましょう。

番組の編成にあたっては「一定尺のロールをつくり、これを1日中繰り返して放映する。」が基本になります。仮に朝8時から夜10時までの放映を行う表示機があったとして、1時間尺のロールを1日中繰り返すと同じ1時間の編成が都合14回繰り返しで放映されることになります。朝、昼、夜で内容を変えてみたり、それぞれのやり方はあれど原則は繰り返し放映です。大型ビジョン（パブリックビューアー）の広告料金表が15秒（30秒）尺素材の時間当たりの放映回数で表示されるのはそのためです。

広告素材の場合、1時間あたりの放映回数は原則遇数回での指定がほとんどです。複数のロールの繰り返しであっても、1時間あたりの放映回数を偶数で構成できるようにしておいたほうが無難です。

特に広告媒体として運用するためには柔軟な運営体制が重要です。日々の編成途切れなく映像を表示するよう複数のコンテンツや入力ソースを組み合わせることを言います。メーカによってはこの作業をスケジューリングとし、作業を行う機材、もしくはアプリケーションをスケジューラーと呼びます。タイミングは原則運営側が決めることではありますが、広告を受け付けるとなると手前の都合ばかりも言ってはいられません。お客様の希望するタイミング（急なお申込み、急な素材差換えなど）での掲出を実現するためには結局のところ不定期な編成作業が必要になります。また、請求にあたっては掲出を証明するための放映報告書広告主の指示通りコンテンツが表示機で放映されたことを証明するための書類です。通常は実際に映像が表示された状態を撮影し添付します。を添付するのが一般的ですが、そのためには放映期間中に実際に画面に表示される映像を撮影する必要があります。もちろんそれ以外にもお客様とのやりとりが発生してきます。広告媒体として内部で運営をお考えの場合は最少でも1.5人の稼動が固定されるとお考えになるべきでしょう。

①	枠の確認：	お客様より希望する期間に広告枠が開いているかの問い合わせ
②	クライアント、 内容審査：	既知のクライアントなど、内容に問題がないことが予め明確な場合は省きます テナントビルの場合は競合排除なども考慮します
③	素材受領：	最近ではメディアを用いずデータでの入稿がほとんどです
④	エンコード：	搬入された映像素材データを編成できるフォーマットに変換します
⑤	編成：	広告映像素材、コンテンツなど画面で放送する素材をスケジューリングします
⑥	放映時間の報告：	必要に応じお客様にご依頼の素材が何時何分何秒から放映されるかを報告します
⑦	放映モニタ：	放映期間中実際に画面に映っている映像を撮影します
⑧	放映報告：	放映モニタ写真を添えて、確実に放映した旨をご報告します
⑨	請求：	放映報告書とあわせて提出することが一般的です
⑩	素材返却：	メディアをお預かりした場合は返却します